JoyCity: AWS Global Accelerator によるプレイヤーエクスペリエンス向上
2020 年
ゲームはプレイヤーを独自の世界に連れて行くものですが、ネットワークレイテンシー (一般的にラグと呼ばれる) が感じられると、プレイヤーはたちまち現実に引き戻されてしまいます。韓国のオンラインゲーミング企業で、開発も行う JoyCity は、顧客がレイテンシーの問題に悩んでいることを知り、ラグや転送エラー、ネットワークのタイムアウトなどを避けられないものとせず、会社として行動を起こしました。同社は、アマゾン ウェブ サービス (AWS) および AWS Global Accelerator を使用することでネットワークの問題を大幅に減少させる方法を発見し、ゲーマーがより長時間ゲームセッションを楽しめるようにしました。AWS Global Accelerator は、ローカルまたはグローバルユーザー用アプリケーションの可用性とパフォーマンスを改善するサービスです。AWS のグローバルネットワークを活用し、ユーザーのトラフィックをアプリケーションのエンドポイントにルーティングします。
AWS Global Accelerator で、一部の国ではネットワークタイムアウトの数を 8 分の 1 に減らすことができました”
SanAh Kang 氏
NDREAM (JoyCity の親会社) プラットフォームチームリーダー
ネットワークレイテンシーの問題を特定する
1994 年に韓国で設立された JoyCity は、オンライン PC スポーツゲームの FreeStyle を開発し、全国で発売して最初の成功を収めました。この 10 年の間に JoyCity は国外への進出を果たし、モバイルゲームに参入して、業界における重要なプレイヤーとしての地位を固めてきました。ヒット作には、Gunship Battle Total Warfare や Pirates of the Caribbean: Tides of War があり、数百万のダウンロード数を誇っています。
同社は、ユーザーベース、優れた技術力、速度において競争力を持ち、結果の出せるポートフォリオを維持するべく努力を続けています。しかしながら、新しい地域に業務を拡大するにつれ、ネットワークのパフォーマンス改善の必要性が実感されるようになりました。JoyCity のゲームをプレイする世界中のゲーマーの人数がどんどん増えていたためです。
オンラインエクスペリエンスに影響する大きな要因として、レイテンシーと転送エラーの 2 つがあります。レイテンシーとは、ゲームの応答性を左右するもので、プレーヤーからゲームインスタンスまでのデータの往復にかかる時間のことです。転送エラーとはレイテンシーのバラつきのことで、転送エラーが多いと、ゲームの流れが一定しない状況が発生します。JoyCity の親会社 NDREAM のプラットフォームチームリーダー、SanAh Kang 氏は、レイテンシーに不満を述べるユーザーが増えていることに注目し、調査を実施しました。「ゲーム作成時、プレイヤーのレイテンシーは 200 ミリ秒未満を想定していましたが、ある地域では 300 から 350 ミリ秒になっているプレイヤーがいました」と Kang 氏は言います。「これでは遅すぎて、ユーザーが楽しくプレイできません」。 レイテンシーと転送エラーはプレイの妨げになり、多くの場合、プレイヤーがエクスペリエンスを楽んでプレイ時間がもっと長くなるのか、あるいはゲームをやめてしまいもう戻ってこないのかといった違いを生みます。JoyCity のゲームが成功するためには、この問題を解決することが必須でした。
適切な安定性を見つける
当初 JoyCity は、いくつかのクラウドベンダーのソリューションを模索しましたが、最終的に AWS に落ち着きました。「AWS Global Accelerator は、他のベンダーと比較して低コストです」と Kang 氏は言います。「また設定や、当社の既存の AWS ワークロードとの統合も簡単でした」。 AWS Global Accelerator は、AWS のバックボーンを使用してエッジで TCP 接続を終了し、TCP スループットを最大 60 パーセント改善します。つまり、レイテンシーは低下し、ゲームユーザーが中断を体験するケースも減少します。
ただし JoyCity は、採用前に AWS Global Accelerator の実力を試すことにしました。JoyCity の数百万人のエンドユーザーが必要とするトラフィックとパフォーマンスに対応できることを確認するためです。わずか 1 回のテストで、懐疑的だった Kang 氏も驚きました。
「AWS Global Accelerator ありの状態となしの状態とで A/B テストを行いました」と Kang 氏は言います。そしてわかったことは、AWS Global Accelerator がネットワークのパフォーマンスを改善したばかりか、JoyCity のユーザー信頼性指標まで向上させたことです。つまり、プレイヤーのプレイ時間がより長くゲームなる可能性があるのです。「AWS Global Accelerator によって、一部の国ではネットワークタイムアウトの数を 8 分の 1 に減らすことができました」と Kang 氏は述べています。「間違いなくパフォーマンスが大幅に向上します」 JoyCity では、グローバルにテストしたところ、ネットワークタイムアウトが平均して約 60% 削減されました。
AWS Global Accelerator をゲームに導入する
JoyCity は、パフォーマンスが明らかに改善されたことを受け、AWS チームの支援により、AWS Global Accelerator を同社のゲームの 80 パーセントに導入しました。「ご支援いただいた AWS ソリューションアーキテクトやアカウントマネージャーの皆さんには、参考資料やテスト結果の共有でお世話になり、大変感謝しています」と Kang 氏は言います。「AWS と連携できたことに満足しています」。
導入のすぐ後に、JoyCity は AWS Global Accelerator に移行した効果を確認することになりました。「AWS Global Accelerator を使用するゲームすべてのパフォーマンスに改善が見られ始めたのです。プレイヤーのレイテンシーは 200 ミリ秒を下回るようになりました。ネットワークタイムアウトの削減については言うまでもありません」と Kang 氏は言います。JoyCity に寄せられるレイテンシー関連の苦情も減少しました。つまり、ゲーマーもこの変化に気付いたということです。「AWS Global Accelerator は間違いなくお客様の苦情に対処する時間を削減してくれました」と Kang 氏は述べています。「これで、ネットワークの問題ではなく、プレイヤーに愛されているゲームの開発に集中できるようになりました」。
改善を続ける
良好な結果が得られたことで、JoyCity の親会社 NDREAM は、AWS Global Accelerator の利用を拡大しました。同社は Mojito Games など、その他の子会社にも AWS Global Accelerator を統合することを計画しています。AWS Global Accelerator の支援を受けた JoyCity は、世界中でのアプリのダウンロード数が 2 億件を超え、その数は毎月数千件単位で増加しています。現在のユーザーベースのコンテンツを維持し、世界中のマーケットでさらなるユーザーを獲得するという両面において、顧客満足度というゲームに勝利していることは明らかでしょう。
JoyCity について
韓国を拠点とする JoyCity は、スポーツゲーム FreeStyle シリーズがヒットした、グローバルなオンラインゲーム運営および開発を行う企業です。この 10 年の間に JoyCity は国外への進出を果たし、モバイルゲームに参入して、ゲーミング業界における重要なプレイヤーとしての地位を固めてきました。
AWS の利点
- ネットワークのタイムアウトを 8 分の 1 に減少
- ネットワークレイテンシーを 350 ミリ秒から 200 ミリ秒未満に削減
- プレイヤーからのラグに関する苦情が減少
利用している AWS のサービス
AWS Global Accelerator
AWS Global Accelerator は、ローカルまたは世界中のユーザーに提供するアプリケーションの可用性とパフォーマンスを改善するサービスです。Application Load Balancer、Network Load Balancer、Amazon EC2 インスタンスなど、単一または複数の AWS リージョンのアプリケーションエンドポイントへの固定エントリポイントとして機能する静的 IP アドレスを提供します。
開始方法
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